フェイクアズールアーコロジー
500年ほど前、地球に5つの隕石が近づき五大流星雨と呼ばれる大災害が発生、そして冬の時代が訪れた。
人類は地下や海底、そしてアーコロジーと呼ばれる建造物へと移住し、地球の環境が再生する事を待ち続けていた。
――外は人の住めぬ不毛の地。
いつしか平和な箱庭であるアーコロジーの中に住む人たちは、その不毛の地への興味を失ってゆき、知識と記録の中にのみ存在する遠い場所と受け止めるようになっていた。
舞台はかつて日本と呼ばれた地の文化を色濃く残す日系アーコロジー『天原』そこに住む青年・日高千尋は、天原で発展したモータースポーツ『フライト』の王者・織倉練児を師として、いつか自分も師匠と一緒に飛べる日が来ると信じて訓練を続けていた。
しかし、その憧れのヒーローだった織倉練児はある日事故で死亡してしまう。
千尋はその事故の原因の一端を知りつつも、己も大きなトラウマを抱え、フライトの世界からドロップアウトしてしまった。
『空』を失ってしまった千尋は、胸の内に焦燥感を抱えながらも、目的も目標も無く、生きる意味さえ疑いながらただ惰性で日々を過ごしていた。
そんな千尋の前に、ある日空の壁をぶち破って見慣れぬフライトの機体が落ちてくる。不時着したそれに駆け寄る千尋は、それに乗っていた金色の少女と出会う。
「ここ、天国じゃないよね。だって、天国にまで壁があったら、ヤだよね」壁と天井に囲まれた閉鎖都市・天原。
平和な箱庭、けれども停滞してしまっているこの街での出会い。
この日を境に、千尋やその周りの停滞した日常や関係が動き始めていく――。
特集: あかべぇそふとつぅ特集
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